防災技術

インプラント構造の特徴

地球と一体化した強靭な構造

フーチング構造は、基礎の受圧面積を広くして地球に置く形式、いわゆる"総入れ歯"構造である。一方、インプラント構造は、躯体部と基礎部が一体となった許容構造部材を地盤に挿し込み、地球にしっかりと支えてもらう形式、つまり"天然の歯"構造をしており、構造上の原理的な優位性は自明である。

地球に支えてもらう構造形式
画像をクリックすると、模型による構造比較ムービーをご覧いただけます。 模型によるインプラント構造とフーチング構造の比較


災害に強いインプラント構造

杭を使わず地盤に置く"直接基礎"式のフーチング構造物は、地震で地盤の支持力を失い、洪水で大きな外力を受けた場合など、横移動(滑動)や転倒、構造物の破壊などが生じる。地震で堤防が損傷すれば、続く津波に抵抗する機能が失われる。津波に耐えても、引き波で崩壊すれば、復旧するまで街は常時の降雨や大潮などに無防備となる。つまり、防災用の構造物には、被災しても崩壊せず、その場に留まって機能を維持し続けることが求められる。

人間で言うと、フーチング構造は"総入れ歯"である。総入れ歯より"天然の歯"が圧倒的に強いように、土木構造物の構造形式も、天然の歯に相当する「インプラント構造」であるべきだ。一本一本の歯根が直接顎の骨に連結しているのと同じく、地上の躯体部と地下の基礎部が一体成型された構造部材を、地盤に深く挿し込んで、地球に直接支えてもらう構造である。

脆弱なフーチング構造から、地球に支えてもらう強いインプラント構造への「構造革命」こそが、真の防災技術革新のための緊急課題である。



模型による構造比較(ムービー)

インプラント構造とフーチング構造の原理的な違いを、分かりやすく模型で比較・映像化した。両者の典型的な構造形式を選択し、津波に見立てた外力に対する両者の耐性を比較した。



急速・省スペースな建設工法

インプラント構造には、大きな工法上の優位性がある。災害対策に強く求められる、省スペース・急速施工である。躯体と基礎を一体化させ工場生産した構造部材を、地上から直接圧入して構造物を完成させるため、仮設工事や大掛かりな掘削作業が不要で、最小の工事領域と最少の施工工程を実現している。



施工しながら地盤支持力を確認

施工しながら地盤支持力を確認

インプラント構造を実現する圧入施工では、圧入機が自動計測する各種データや地盤の貫入抵抗値などから、一本一本の支持力などをリアルタイムに把握できる。完成したインプラント構造物の品質管理はもちろん、元々地盤情報が乏しい現場や、地震や土砂崩れで地盤が変化した現場でも、施工しながら現実に即した地盤情報を確認することができる。