防災技術

インプラント構造の提案 河川堤防・護岸

堤防決壊対策

決壊箇所を緊急締切り

自然災害の中でも、1980年代後半から急速に増加し始めたのが洪水である。世界のあらゆる地域で抱える問題であり、被害の規模も年々拡大している。特に、勾配が急な日本の河川では、台風やゲリラ豪雨などで洪水被害が発生しやすい。東京の都市部を流れる荒川は、下流域の人口密度が日本でもっとも高く、公共機関も集中しており、国土交通省のシミュレーションでは、荒川堤防が決壊すると都心は完全に水没して交通網は壊滅、被害総額は24兆円にも上るとされる(1999年)。もちろん、多くの人命が失われ、家屋や財産は流失を免れない。このような河川堤防決壊の一報を受けるとすぐさま現場に赴き、GRBシステムで強靭な圧入杭連続壁(インプラントウォール)を構築して決壊箇所を一気に締め切る。

洪水被害は、ヨーロッパでも深刻である。人命はもちろんだが、歴史的な都市の建造物や文化施設も、人類にとって失うことのできない尊い遺産である。また、メコン川や揚子江など、アジアの大河もしばしば氾濫し大洪水を引き起こす。原因のひとつは森林破壊といわれているが、被害を看過する訳にはいかない。大河が氾濫して長い間水が引かない場合でも、仮設ステージを必要としないGRBシステムだと、新たな河川堤防を築いて次の洪水に備えておくことができる。

(掲出:日経コンストラクション2001年7月27日号)



河川・水路護岸対策

河川・水路護岸対策 1 河川・水路護岸対策 2
強固な護岸斜杭壁を仮設なしで構築

河川や水路の護岸工事は治水及び環境の美観上、重要な事業である。理想的なのは傾斜した護岸で、直立護岸に比べ受ける土圧が小さく、河川の流速を一定に保て、さらに植生護岸にし易いという特長がある。しかし、従来工法では傾斜面を杭材で直接造ることは困難であり、石積ブロックなどは複雑な仮設工事が多く、時季や天候に左右され、工期延長や二次災害の発生など多くの問題点を抱えている。その解決策が、高品質で高強度な景観杭を斜めに直接圧入する、斜杭壁築造工法である。

(掲出:日経コンストラクション1999年4月23日号)