インプラント構造の提案 鉄道・道路
岩盤崩落対策
災害に強い代替道路を緊急構築
平成8年2月に発生した北海道「豊浜トンネル」の崩落事故の記憶もまだ生々しい翌年8月、同じ国道229号線の「第2白糸トンネル」で再び大規模な崩落事故が発生。崩れ落ちた2万m3もの岩石や土砂を撤去し、新たにトンネルをつくる復旧作業は3交替、24時間体制で行われた。それでも開通には1年7か月間を要し、地元の人々は長い間不便を強いられ、地元経済は大きなダメージを受けた。岩盤崩落は予知が極めて難しく、危険箇所が分かっていても直ぐに防災措置を施すことは困難である。そこで、このような岩盤崩落の一報が入るとすぐに現場に赴き、GRBシステムでH形鋼などの杭材で強固な圧入杭連続壁(インプラントウォール)を構築、その杭上に迂回道路をつくり、生命線の寸断を短期間に解消する。
(掲出:日経コンストラクション2001年10月26日号)
鉄道軌道流失対策
新規軌道を仮設なしで緊急構築
全国の土砂災害危険箇所は、27万箇所(平成12年調査)以上あり、防災措置が施されていない危険箇所も数多く存在する。特に山間部では、大雨による鉄砲水や土砂崩れで鉄道軌道部分が流失し、線路が宙吊りになる場合も珍しくない。こうなると復旧には膨大な日数を要し、大動脈を寸断された地域は多大な不便と経済的損失を避けられない。そこで軌道寸断の一報が入るとすぐに現場へ駆けつけ、GRBシステムで鋼管杭を圧入して一気に強靭な圧入杭連続壁(インプラントウォール)を構築する。その杭上に軌道を復旧させて短期間に列車を通すとともに、強力な土留・止水力で地すべりを抑止し、二次災害も防止する。
(掲出:日経コンストラクション2001年9月28日号)
狭隘道路の拡幅
狭隘道路を拡幅し災害に強い街づくり
古い市街地や都市近郊の住宅団地等でよく見られる狭隘道路は、常時の交通渋滞だけでなく、災害発生時の大きな問題点でもある。しかし、道路の両側には住宅や土手が迫り、従来工法では解決できなかった。そこで、GRBシステムによる狭隘道拡幅工法を駆使する。擁壁の材料には、コンクリートと鋼材を中心にしたハイブリッド材を使用。ステンレス材や鋼材に、チタン・ウレタン・エポキシ樹脂・セラミック・石材・木材等をコーティングした材料を新開発し、工場規格認定製品として工場生産する。盛土材にはペットボトル・廃ウレタン・廃プラスチック等を使用し、原則として土は使わない。
(掲出:日経コンストラクション 1998年12月25日号)
(掲出:土木施工2000年9月号)
デッドスペースの活用
災害に強い構造物で土地を有効活用
高速道路や鉄道には盛土工法が多く採用されている。これでは、限りある土地を有効活用できない。特に都市のライフスタイルは、交通機関を中心に大きく変貌している。限りあるスペースの有効活用は、国家的使命である。そこで、一本一本の支持杭を連続的に設置して強靭な自立擁壁を構築し、その前面の盛土をカットして新しい利用スペースを創り、同時に盛土の耐震補強も実施する。既存工法では、現況の鉄道や道路等の交通システムに影響を与えずに傾斜地施工することは困難だったが、GRBシステムとインプラント構造を駆使すれば解決する。
(掲出:日経コンストラクション1999年1月22日号)
橋梁の蘇生・補強対策
場所を選ばず橋梁の防災性能を強化
橋梁は、国民の生活の経済や文化を結ぶ重要なライフラインである。洗屈や地震などで機能が失われれば、交通網は寸断され、日常生活どころか災害復旧すら困難になる。橋梁の機能蘇生や耐震補強は、既に圧入工法で多くの実績を上げているが、資材の無駄をなくし、桁下の高さや潮の干満などに影響されない工法として、水中でも施工可能な圧入機器の開発が急がれる。
(掲出:日経コンストラクション 2000年1月28日号)
山間部での幹線道路構築
地球との接触面積を極小化した水平インプラント構造
環境と文明の共生の鍵は、自然と人工物の接触面積をいかに小さくするかにある。街と街をつなぐ幹線道路を山間部に建設する場合、従来工法では強い圧縮強度を持つ岩盤をわざわざ破壊して、そこにコンクリート製のフーチング構造物を垂直に立ち上げる。膨大な費用と時間を費やすだけでなく、自然も景観も破壊してしまう。そこで、岩盤にインプラント杭材を水平に圧入し、その上に道路を建設するのである。地球の強度をそのまま利用し、地球との接触面積を杭材の断面積にだけ極小化することができる。さらに、道路が不要になれば、建設時の逆工程をたどり、撤去して自然環境を復元することも可能だ。
(掲出:日経コンストラクション2003年3月28日号)
橋梁構築
橋梁を省スペースに仮設レスで緊急構築
国の発展の要は交通網の整備にある。その中でも、鉄道や道路建設に不可欠なのが橋梁である。しかし、橋梁こそがフーチング構造の代表格であり、工事において数多くのマイナス要素を抱えている。そこで、橋梁本来の目的である「車や列車を通す」ことから発想し、構造物の完成から逆追いしたのがインプラントピア工法である。橋梁のピア(橋脚)には、求められる垂直荷重と水平荷重に耐えうる構造体を工場生産して、現場で直接圧入して地球に支えてもらう。例えば、ピアに10の力が求められれば、10の力の許容構造部材を工場生産する。10の力が大き過ぎれば、二つに分割した5の力の構造部材を二本圧入する。一晩で築かれたという「一夜城」の逸話を聞くと、その発想と成果には驚きを禁じ得ないが、本工法によって現代における「一夜橋」は十分可能なのである。
(掲出:日経コンストラクション 2000年5月26日号))
(掲出:土木施工2001年3月号)