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第1回 圧入Q&A 解答
第1回 圧入Q&A(入門編) / 土木学会誌 2010年9月号掲載
- Q.
- 圧入工法では、鋼矢板を用いて土留壁や止水壁を構築しています。上から見た壁の形で、施工事例のあるものをすべて選んでください。
イ. 直線 ロ. 矩形 ハ. 円形
ニ. S字 ホ. 放射状
A. イ、ロ、ハ、ニ、ホ(全てに施工事例があります。)
圧入工法では、既に地中に打ち込まれた杭の引抜抵抗力を反力として、油圧による静荷重で杭を押し込みます。また杭の方向も油圧でコントロールしており、複雑な施工形状でも高精度に安定した施工を行えます。
施工事例を写真で紹介しますのでご覧ください。
【直線】
ドイツでの施工例です。民家に隣接する既存の河川堤防において、洪水対策として堤防の高さを保持しつつ堤体下部の止水性を高める目的で鋼矢板が打設されました。
圧入工法では、導材等に頼らずに油圧の力で杭の方向をコントロールすることができます。また静荷重で杭を押し込む方式により振動・騒音が発生せず、近隣住民に影響を与えません。
【矩形】
シンガポールでの事例です。都市の過密化と産業誘致推進による水需要の増加にともない、河川から貯水池に水を送る吐出口を増設する工事です。設置にあたりドライな環境を作るために、鋼矢板二重締切り工が採用されました。
軽量コンパクトな圧入施工システム機器は、完成杭上で全工程を完了させます。水上という条件下において、仮設桟橋などの付帯工事を省くことで、工期工費を削減できます。
【円形】
204台の自転車を収容する地下機械式駐輪場を構築する事例です。躯体壁となる鋼矢板連続壁を円筒形に施工しています。
円形に鋼矢板を締め切る際の最後の一枚を圧入している写真です。
圧入工法は、圧入済みの杭を反力杭として、油圧の力で杭の方向を正確にコントロールできる工法です。そのため規定の円周上に杭を圧入し、最後に締め切りを行うという高精度な施工が可能です。
【S字】
有明海に面する福岡県沖端漁港の事例です。観光名所である水郷「柳川」に隣接する沖端町は、柳河藩城下町時代からの港町の匂いが色濃く残る地域で観光客が多く訪れます。
既設護岸の前面に遊歩道を設置するとともに、梅雨時期や台風時の高潮対策として機能させることを目的として鋼矢板護岸が構築されました。
陸側は既設護岸壁に民家が隣接し、河川側は有明海に面する感潮河川で工事用機械のアクセスが困難な環境です。完成杭の天端を作業軌道として、杭の搬送、吊り込み、圧入の全工程を完了する圧入施工システム機器により、合理的で急速な施工を実現しています。
地形を利用した、なだらかな曲線を持つ親水護岸でも、異型コーナー矢板を使用することなくスムーズな施工が可能です。