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第2回 圧入Q&A 解答
第2回 圧入Q&A(入門編) / 土木学会誌 2010年10月号掲載
- Q.
- 圧入工法では、油圧力による静荷重で杭を地中に押し込みますが、硬質な地盤などでは、貫入補助システムを併用して施工を行っています。次の地盤で、施工事例のあるものをすべて選んでください。
イ. 東京礫層 ロ. 天満礫層 ハ. 琉球石灰岩
ニ. 蛇紋岩 ホ. 粘板岩 へ. 花崗岩
A. イ、ロ、ハ、ニ、ホ、ヘ(全てに施工事例があります。)
圧入工法では、地盤条件や施工条件に応じて、最適な貫入補助システム を用いることで、合理的な圧入施工を実現しています。施工事例を紹介しますのでご覧下さい。
【東京礫層】
東京23区に広く分布する、主に締まった砂礫(N値50以上)から構成される洪積砂礫層です。
東京スカイツリーや都心の多くの高層ビルの基礎は、この東京礫層を支持層としています。
- 施工例)
- 東京都渋谷区でのビル新築工事において土留壁を構築した施工例です。
最大換算N値で180を超える東京礫層に圧入施工を行っています。
【天満礫層】
大阪平野の地表部に堆積する沖積層の下部に位置する硬い洪積層の上部部分の地層です。
N値が50を越え、建築物の安定した支持層として知られています。
- 施工例)
- 大阪府の茨木駅構内での線路維持工事で、営業線に近接して鋼矢板連続壁を構築した施工例です。最大換算N値で120を超える天満礫層に圧入施工を行っています。
【琉球石灰岩】
南西諸島に広く分布するサンゴ礁堆積物である石灰岩の地層で、N値が50以上の石灰岩から、砂礫、空洞部まで存在する岩相が不均一な地層です。
- 施工例)
- 沖縄県那覇市の都市河川の護岸改修工事で、仮締切り工として最大換算N値500の琉球石灰岩へ鋼矢板を圧入施工した事例です。
【蛇紋岩】
深成岩のひとつで、かんらん岩などの超塩基性岩が水と反応し、蛇紋石化作用をうけることによって生成したもので、破砕、風化されやすい岩石です。
- 施工例)
- 長崎県長崎市での橋梁架替工事において、橋台と橋脚新設のための仮締切り工として一軸圧縮強度で29.3N/mm2の蛇紋岩へ鋼矢板を圧入施工した事例です。
【粘板岩】
中世代の堆積岩のひとつで、泥岩が温度・圧力により組織の変化を生じた粘土質岩石です。
- 施工例)
- 宮城県石巻市のかんがい用水事業における送水路の設置工事の事例です。
送水管敷設を行う推進工法用の立坑として、一軸圧縮強度で52.2N/mm2の粘板岩へ圧入施工しています。
【花崗岩】
深成岩のひとつで、粗粒で、粒のそろった堅牢な岩石です。国会議事堂の外壁など建材としても利用されています。
- 施工例)
- 香港での施工例です。地下鉄の駅舎建設のための土留工事で、一軸圧縮強度で40~130N/mm2の花崗岩層や直径1.5mの転石へ鋼矢板を圧入施工した事例です。
【貫入補助システム】
圧密された砂質地盤や礫・玉石を含む地盤など、土質条件によっては杭の貫入が困難な場合があります。そのような硬質地盤などに対して、地盤の持つ貫入抵抗力を軽減することで圧入力を必要最小限に抑え、ゆとりある反力によって合理的かつ効率的な圧入施工を実現する仕組みです。
貫入補助システムを用いる工法には、「ウォータージェット併用圧入」と「パイルオーガー併用圧入」があります。
※パイルオーガ併用圧入
「パイルオーガー併用圧入」は「硬質地盤クリア工法」として、国土交通省「新技術情報提供システム(NETIS)」に登録されています。
(登録No. CB-980118-V)
NETIS登録詳細情報 (「NETISホームページ」にてご確認ください)
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